長岡医師会ボンジュールNo.375 2009 H21.12.30発行
樋口皮膚科医院 樋口裕乗 Tel 0258-34-2303 info@sportsfukiya.net
奇跡のスポーツ No.3 夢遊流ヌンチャク704
なぜ私がヌンチャクについてあえて投稿しようと思いついたのでしょうか?
多くの人はまだヌンチャクとは野蛮な危険な武術で興味をもっている者はノーマルではないと思っているようです。まだ未知で見捨てられているヌンチャクには素晴らしい価値があり、日本の誇る伝統文化の一つであることをぜひ知って頂きたい、そしていつの日にか誰かが私の考案した健康法にご注目して下さる事を夢見て本誌に投稿します。
平成3年に現在世界ルールになっているスポーツ吹矢のルールや規格を考案して掲載した奇跡の小冊「吹矢健康法」を出版しました。その際本の広告を(株)BABジャパン出版の雑誌「秘伝」に掲載してもらったことからヌンチャクの神様と言われている双節棍道双幹流宗家荒川武仙先生と知り合いになり、お手製のヌンチャクを頂いたり手紙を頂くようになりました。
荒川先生はかって鋼柔流空手泉武館会長で沖縄出身の泉川寛喜先生に師事されており昭和20年にヌンチャクを自作して研究され杉並区に倫武館道場を開設しました。現在は80才で千葉県旭市にお住まいです。このヌンチャクの先駆者と出会わなかったら私がヌンチャクについて書くことはなかったでしょう。
ヌンチャクの起源には諸説ありますが、脱穀用に棒の先に短い棒を結び穀物を叩く方法は世界各地で行われておりました。武術として発達したのは琉球が島津藩により武器を取り上げられた特殊な歴史的環境があったためではないかと思います。しかし日本本土では江戸時代には全く知られていなかった武器で脚光が浴びるようになったのは荒川先生が流派を結成して本格的に普及されたからです。ブルースリーの映画「燃えるドラゴン」で世界中にヌンチャクという武術があることが知れ渡るようになりましたが中国が発祥地ではなく、それまでは全く未知のスポーツでしたから戦後日本から始まったごく新しいスポーツです。
従来のヌンチャクは長さ約36cmで棍間が13cmくらいです。これに対して双幹流ヌンチャクは45cm根幹が3.5cmです。この規格を考案されたことは非常に高く評価されるべきだと思います。なぜなら従来型のヌンチャクでは振り回しても棍が直線状にならないので非常に危険です。双幹流はどっしりした重さがあり安定した振り方が可能です。この双幹流ヌンチャクに出会ったので私はヌンチャクを今日まで続けることができました。医師会に寄贈した荒川武仙人著「双幹流双節棍道、棒道大全」はヌンチャクの研究には不可欠の歴史的資料で不動返しなどの考案された振り方が掲載されております。
ヌンチャクは沖縄の伝統武術として知られておりますが実戦で用いられたかについては疑問です。なぜならヌンチャクを振ると野球のバットのように最終点まで振ってしまい途中で寸止めすることができません。刀の場合寸止め切り返しの細かい技が可能ですが、ヌンチャクでは細かく棍を動かすことが出来ませんし、突きは棍が短くて効果がありません。さらに棍間が長いと棒などに巻き取られたり切られたりします。そのような不利な点があるから武器としては有効なものとは思いませんが、ヌンチャクを思い切り振るとゴルフのスウィングのように爽快な気分になれます。現在はソフトヌンチャクでたたき合うコンバットヌンチャクも行われていますが、以前は硬い木製のヌンチャクでしたので実際に相手を叩くことは不可能で素振りだけ行われて空手のようには互いに対戦は出来ませんでした。沖縄源流のスポーツですので空手をする人がヌンチャクも行っているようですが、空手とは全く異なるスポーツです。
以前長岡技術大学の留学会館で実演したり、東京家政大学体育科にファイバー製の筒で作った軽いヌンチャクを50丁送ったこともあります。またタレントのウインツェル英治さんが拙宅に訪れヌンチャクを教えたことがありますが、当時のヌンチャクはまだ未熟な技でしたので今思い出すと笑止千万です。
沖縄の従来の振り方は口伝で伝えられた肩掛け構えから袈裟打ちー胴返しー肩上げのような技で振り方は少ししかありません。しかも舞踊と同じく三次元の動きを文章で説明しても理解は困難です。いろいろな振り方を考案して振っていましたが、動きを伝えるにはどうしたら分かり易いか考えて考案したのが夢遊流ヌンチャク704です。
振り方は左上Aから右下Dへ、右上Bから左下Cへ振るX型が袈裟打ちです。DA、CBと戻して振るXは逆袈裟打ちです。左右の手で振るから袈裟打ちは8型になります。これにエル字、逆エル字、その他10技の前技をつけ袈裟振りと合計11x8=88の基本的振り方があります。これはテーブル式表記法で書かれており誰にもすぐ理解できる点が今までになかった特徴です。スタートは裏腰に棍を水平に構えて立ち、棍を振った後、握り手側から対側からへ振った場合は把棍を対手に持ち替えて飛棍を背面に回し元の構えになります。対側から握り手側に振った場合はそのまま飛棍を背面に回し元の構えになります。棍の持ち替え方が順手持ちを含めて4種あり、88 x 4 x 2(裏、表)合計704のバリエーションが可能ですから飽きることなく振ることができます。これは偶然ですが704は私の年令と似た数字です。詳細は国際吹矢道協会IFA
http://www.sportsfukiya.net/に公開しておりますかぜひご覧ください。
現在ユーチューブコムで世界中で見られているヌンチャクはフリースタイルという振り方が主流で古典的振り方は廃れてきています。これは棍間の紐やチェーンが長いヌンチャクを用いて紐を手首に掛けて回すリストスピン(リストロールともいう)を行うダンスのようなものです。リストスピンはフロント型とバック型だけしかありませが見た目にはとても華やかで見応えがあります。これは見せ技でショーにはなりますが毎日行う健康法としては長続きするものではないでしょう。私もリストスピンをやってはおりますが非常に難度が高く誰にもすぐ真似できるものではありません。
健康法として行うには毎日できることが必要です。さらに面白さと爽快さがなければ長続きはしません。ヌンチャクの利点は広くない空き地でどこでもできる、用具も作ることができる、コストフリーで、いろいろな振り方を考案できるなどの利点もあります。ヌンチャクはリズミカルでバランス感覚が向上するし、とても豪快、華麗で迫力があります。先人が残してくれた貴重なスポーツをさらに改良し遊びの文化遺産として多くの人に喜びと感動を与えたいということが私の念願です。
まだ未知で知られずに埋もれているヌンチャクの秘められた魅力に魅了されて、毎日どこかで一人夢の遊びに戯れています。